72歳の年齢で遺言を作成してくれた父

先日、父が72歳の誕生日を迎えました。
家族で毎年のようにお祝いをし、何事もない毎年ある誕生日でした。
しかし、その次の日曜日に父は遺言書を作成するということを家族に言いました。
父の言うところによれば、「いつ何があるかわからないので安心するために一応作成しておくだけだ」ということです。
後日、知り合いの紹介で行政書士を訪ねて遺言書を作成するということです。
作成する遺言書は公正証書遺言といい、公証役場という役所で作るため、法律的な間違いはない遺言書になるとのことでした。
現在、父は72歳ですが特に体に悪いところもありません。
また年金の蓄えがあるためか、孫である私の子供にお小遣いを上げたり、日曜日にデパートに連れていくなどして健康そのものです。
しかし、72歳という年齢が父にとっての区切りとなったようでした。
72歳という数字は特に切りが良いというわけではありませんし、体調も悪いわけではないので、おそらくは知人などから聞いた話、ニュースの情報などから遺書を作成しておいたほうが良いということを思ったのでしょう。
たしかに、私は長男で弟と妹がいますので、父の遺産について将来どうなるかということは気にかかります。
また、父に万が一のことがあれば母の介護の為の費用をどうすればいいのかなどは気になります。
しかしこういった話は父とはもちろん、母、弟、妹とも話をしたことはありませんでした。
むしろ父の方でいろいろ考えてくれたという感じでした。
後日、行政書士と何度か相談し、土地の登記簿を取得したり、保険などに関する書類はどこかと母に尋ねる父の姿を目にしました。
その後、公証役場で必要な書類が出来上がったようで父は満足した顔をしていました。
遺書を書くというと、私としてはなにか後ろめたいような印象を持っていましたが父は満足したようです。
自分自身の死後のことがはっきりとしたというようで、仕事がひとつ片付いたという印象でした。
父と私との年齢の違いがあるのかもしれないと思いました。
公証役場で作った書類は父が死亡後に開封してみることができるそうです。
父の晴れ晴れとした顔を見ると遺書について後ろ向きなイメージは私たちのようなまだ若い人間が勝手に持っているもので、72歳という年齢になると、むしろ気軽に作れるようになるのかもしれないと感じ、不思議なジェネレーションギャップを感じました。
72歳で遺書を作成してくれた父に久しぶりに感謝の気持ちが湧いてきた気がしました。

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